頭痛の種類(概説)
機能性頭痛(慢性頭痛)
頭痛の種類はさまざま。命にかかわる頭痛もあります。
頭痛は日本人の国民病ともいわれ、4人に一人が頭痛もちだといわれています。
頭痛のタイプにはいろいろありますが、原発性かどうかで、一次性頭痛と二次性頭痛とに大別されます。
一次性頭痛は機能性頭痛ともよばれるもので、明らかな基礎疾患がないのに、繰り返しおきる頭痛をいいます。慢性頭痛ともいわれ、頭痛がおこったり収まったりを繰り返します。頭痛全体の約80%はこのタイプであるといわれています。
おもな慢性頭痛には、筋肉の緊張からおこる「緊張型頭痛」、血管が拡張しておこる「片頭痛」ならびに「群発頭痛」の三つがあります。
症候性頭痛~何らかの病気がもとで起こる頭痛
一方、二次性頭痛は症候性頭痛ともよばれるもので、脳や体に病気があって、その病気がもとで起こる頭痛をいいます。
くも膜下出血や脳腫瘍など頭蓋内疾患による頭痛のほか、髄膜炎やインフルエンザなどの感染症にともなう頭痛、中耳炎や副鼻腔炎、月経障害などでも頭痛が出ることがあります。
二次頭痛の中には、くも膜下出血など命の危険にかかわる病気が潜んでいることがあり、注意が必要です。
突発的で激しい頭痛、いつもと変わった頭痛が起こった場合は「危険な頭痛」の可能性があるので、すぐに神経内科や脳神経外科を受診することが大事です。
(画像:寺田病院)
痛みを感じる仕組み
脳や頭部感覚器の異常のサイン
頭痛などの「痛み」は、ヒトのからだに差し迫った危険を教えてくれる重要なシグナルです。
そのため人体には、痛みを感じる知覚神経の終末がたくさん存在していて、これを痛点(痛覚受容体)と呼んでいます。
たとえば体表面の痛点は、1平方センチメートルあたり100~200個存在していますが、この分布密度は、温点・冷点・触圧点の10倍以上です。人類がいかに「痛み」を重視しているかがわかります。
からだにとって有害な刺激が加わり、炎症がおこって細胞が破壊されると、そこからキニン(ブラジキニンほか)、アミン(セロトニンほか)などの発痛物質が分泌されて、痛点を刺激して痛みを感じます。
脳そのものには知覚神経がありませんが、脳を包む髄膜には知覚神経があって、脳圧の変化、脳の血管の拡張、炎症の発生などの刺激や圧迫に対して敏感に反応します。その結果、頭痛がおこるのです。
また、目、耳、鼻、口は、感覚器として反応が鋭敏な部分です。ここでは粘膜が直接、外気と接しているので、その保護のために知覚神経がきわめて敏感になっています。そのため、ちょっとした刺激で痛みを感じ、頭痛になることもあります。
慢性頭痛の主要な症状
おもな慢性頭痛には、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛の三つがあります。
緊張型頭痛
くびの後ろ(うなじ)や肩などの筋肉が収縮・緊張しておこる頭痛です。肩こりやくびの筋肉の張りをともないます。30~50歳代の人に多くおこります。
痛みの多くは鈍痛で、じーんとした痛みが続くことが多く、まるで頭を締め付けられるような痛みを覚えます。このような痛みが、午後になると一層強くなります。
片頭痛
頭のこめかみから眼のあたりにかけ、脈打つように「ズキンズキン」と痛みます。
脳からの刺激で脳内血管が拡張し、血管周囲にある三叉神経を刺激することで起こる血管性の頭痛です。頭の片側が痛むことが多いので片頭痛と呼ばれますが、両側が痛むことも少なくありません。
成人の1割弱が片頭痛もちといわれます。とくに女性に多い頭痛です。
群発頭痛
目の奥がえぐられるような強烈な痛みがあります。頭の片方が痛むところが片頭痛と似ていますが、いったん起こり始めると1~2ヵ月の間、毎日のように決まった時間に群発するのが特徴です。20~30歳代の男性に多いタイプの頭痛です。
睡眠中に起こりやすく、明け方の痛みで目をさますことが少なくありません。
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