頻尿とは(概説)
いわゆる頻尿と夜間頻尿
頻尿とは、排尿の回数が正常な人よりも多い状態。
排尿の回数には個人差があり、汗をかいたり、アルコール飲用や水分摂取量の違いによってもトイレに行く回数は違ってきます。
ただ、一般的には次の2つのうちのいずれか(あるいは両方)に該当し、これらが継続してみられる場合には、頻尿(ひんにょう)と判断されます。
①起きている間に一日8回以上排尿をする(頻尿)
②就寝中に一日1~2回以上トイレに起きる(夜間頻尿)
頻尿は中高年の方に多く、一種の老化現象としての側面がありますが、実際には年齢や性別を問わず頻尿に悩んでいる方は大勢います。
頻尿の原因はさまざまです。男性の頻尿の原因で多いのは前立腺肥大症で、女性の頻尿の原因で多いのは膀胱炎です。 また男女や年齢に関係なく起きる過活動膀胱という病気もあります。中には前立腺がんや腎臓疾患など怖い病気が潜んでいる場合もあるので注意が必要です。
(画像:夜間頻尿の原因と対策ガイド)
正常な人の排尿回数
昼間7回程度、夜間0回が基本
膀胱は一度に約300ミリリットルの尿を貯めることができます。腎臓で一日につくられる尿は約2000ミリリットルですから、一日7回くらい排尿するのが普通です。
したがって、起きている間に一日8回以上排尿する場合は、頻尿ということになります。
一方、夜間の就寝中は、健康な成人であれば通常トイレに行くことはありません。
私たちの体の中では、昼間に尿がたくさん作られますが、夜になると就寝に備えて尿の量が少なくなります。夜間には、抗利尿ホルモンが働いて腎臓による尿の産生を抑え、尿意をなくして睡眠を優先させるためです。
ところが加齢がすすむと、抗利尿ホルモンの分泌や働きが低下するので、夜に尿を抑制する力も落ちてしまいます。また、膀胱炎や尿道炎などで膀胱が過敏になり、頻繁に尿意を催してしまうケースもあります。
このようなことが原因となって、夜間就寝中に何度かトイレに起きざるを得ない状態を、特に「夜間頻尿」と呼んでいます。夜間頻尿は、昼間の排尿回数とは切り離して考えます。就寝中の排尿回数は、あくまでも0回が正常です。
頻尿が起こる原因
男性は前立腺肥大症、女性は膀胱炎が多い
頻尿が起こる原因は多岐にのぼりますが、大別すると次の5つのケースに分類されます。
■膀胱が刺激を受けて頻尿になるケース
膀胱炎や尿道炎、前立腺炎などの疾患があると、それらの炎症が膀胱の神経に刺激を与えます。膀胱は刺激を受けると収縮するため、少量の尿が溜まっただけでも頻繁に尿意を感じるようになります。
また、自律神経系のトラブルなどが原因で起こる過活動膀胱でも頻尿になります。
■膀胱が圧迫されて頻尿になるケース
膀胱内部の腫瘍や、膀胱周辺の子宮、卵巣、大腸などに腫瘍ができると、膀胱が圧迫され、膀胱に貯められる尿の量が減ることで頻尿になります。
ちなみに、妊娠した女性にも頻尿がみられますが、こちらは大きくなった子宮で膀胱が圧迫されるためにおこるもので、一時的にみられる頻尿です。
■尿の量自体が増えてしまうケース(多尿)
糖尿病や尿崩症、慢性腎不全などの病気が原因で多尿となった場合も、結果的に排尿の回数が増えて頻尿となります。
ただし、多尿と頻尿とは本来異なった病態であり、多尿は尿そのものが増える病気、頻尿は尿の量は正常にもかかわらず排尿回数が多い病気です。
■尿路の異常で頻尿になるケース
前立腺肥大症や前立腺がんなどで頻尿になってしまうのはほとんどがこのケースです。
前立腺は膀胱のすぐ下にあって、尿道を包みこむような構造になっているので、前立腺肥大などで尿道が圧迫されると尿が出にくくなってしまいます。
また、膀胱や括約部のまわりにある末梢神経系や脊髄などの中枢神経系が障害されると、蓄尿や排尿がうまくコントロールできなくなって、頻尿、失禁、排尿困難など、いろいろな排尿障害がおこります。
■精神的な要因やストレスが原因で頻尿になるケース
こちらは精神性頻尿といって、ストレスや不安、恐怖心などの精神的な緊張が原因で頻尿になってしまうケースです。
膀胱は精神的・感情的作用を受けやすい臓器のひとつで、心の不調が体の不調として表れやすく、頻尿がよく現れます。
この神経性頻尿では、症状は頻尿だけで、失禁や排尿痛などほかの排尿障害は見られません。また、夜寝ている時や、リラックスしてくつろいでいる時、何かに熱中している時は頻尿の症状が現れないことも特徴です。
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