喘息(ぜんそく)とは
喘鳴と呼吸困難をくり返す気管支の病気
呼吸が苦しくなる喘息。適切な治療が欠かせない。
喘息(ぜんそく=気管支喘息)は、アレルギー体質と気管支の過敏性が下地となって発症する気管支の病気です。
ぜんそく発作が起きると気管支が痙攣し、筋肉(平滑筋)を収縮させて気管支の内腔が狭くなり空気が通りにくくなります。そのため呼吸が苦しくなって、ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴(ぜいめい)を繰り返します。重症の場合は激しい呼吸困難に陥り、窒息して死亡することもあります。
このように喘息は呼吸困難が伴う大変に苦しい・恐ろしい病気ですが、最近では吸入ステロイド薬の導入によって喘息発作の症状が劇的に改善されるようになりました。
喘息とはどんな病気なのか。ぜんそくの正しい管理と治療法について整理しました。
(画像:健康生活)
喘息発作のおこる仕組み
喘息のもとは気管支粘膜や粘膜下の炎症
喘息発作のおこる仕組み
喘息(ぜんそく)とは、気管支がけいれんしたり、粘膜剥離や粘液分泌過剰で痰(たん)が増加して、肺への空気の出入りが悪くなる病気です。激しい咳と喘鳴、呼吸困難が主な症状です。
ひとたび喘息発作が起きると、痰がからむために激しくせき込み、呼吸しようとしても十分な空気が取り込めず、窒息状態になって大変苦しい思いをします。呼吸をするたびに、狭くなった気道を無理やり空気が流れるために、ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴が聞こえます。呼吸困難が激しい場合には死の恐怖を味わうこともあります。
喘息はなぜ起きるのか?
最近の研究から、喘息が発症するにはその人がアレルギー体質であることが重要な要因であることがわかっています。さらに発症の下地として、もともと気管支に炎症があり、外部の刺激(抗原)に敏感になっていることが挙げられます。
喘息の人の気管支は、症状がないときでも常に気管支粘膜や粘膜下に炎症をおこしており、外部の刺激に対して大変敏感な状態になっています(過敏性の亢進といいます)。そのため、正常な気道なら何ともないホコリやタバコ、ストレスなどのわずかな刺激でも反応をおこして発作がおきてしまいます。これが喘息発作です。
(画像:慶應義塾大学病院)
喘息の治療
基本は吸入ステロイド薬による炎症治療
喘息は気管支の炎症が元になって発症する慢性疾患です。背景には本人のアレルギー体質も係わっているため、喘息そのものを完治するのは難しいですが、適切な治療を継続することにより喘息発作が起きないようにコントロールすることが可能です。
喘息の治療には、①発作をしずめる薬と、②発作がおこらないようにする薬が使用されます。
①は、喘息発作が起きたときに使用する「吸入気管支拡張薬」です。あくまでも対症療法ですが、即効性があり、一時的に気道が拡張されて呼吸がとても楽になります。
一方②は、気管支の炎症治療を目的としたもので、ぜんそく治療の中心的役割を担うものです。現在ではもっぱら「吸入ステロイド薬」が使用されます。吸入ステロイド薬は強力な抗炎症作用があり、ある程度継続して使用することにより喘息の症状を劇的に改善することができます。
吸入ステロイド薬を使用することで、①の気管支拡張薬を使用する頻度も大幅に減少してきます。
吸入ステロイド薬の安全性
気道患部に直接投与するため副作用の心配はまずありません
ステロイド薬は、人体の副腎皮質から分泌される副腎皮質ホルモンのなかの「糖質コルチコイド」を元につくられています。糖質コルチコイドは、炎症を抑えたり、免疫作用/アレルギー反応を抑える作用があり、さまざまな病気の治療薬として使われています。ぜんそく治療においても、ステロイド薬はもっとも有効で強力な抗炎症薬であることは言うまでもありません。
ステロイド薬と聞くと副作用のイメージが強く、使用をためらう人も多くいますが、医師の管理のもとで使用する「吸入ステロイド薬」は、下記の理由から、副作用の心配はまったくといっていいほどありません。
- 1)吸入薬は気管支に直接届くため、ごく少量の薬剤で効果が得られる(経口ステロイド薬の1/100~1/1000の用量)
- 2)のみ薬や注射薬とちがって、血流にのって全身に吸収される量が少ない。
喘息の自己管理について
吸入ステロイド薬の導入によって、喘息の自己管理は飛躍的に簡単になりました。自分自身で自分の喘息の程度を評価して、それにしたがって治療を段階的に強めたり、弱めたりすることもできます。
ただ、息苦しさの自覚症状だけで自己判断するのは危険な面もあります。
最近の研究から、重症の喘息になるほど息苦しさを感じる感度が鈍くなることがわかってきました。気管支がかなり狭くなっているのに息苦しさを感じず、息苦しいと感じたときにはすでに危機的な状況になっている可能性もあります。
これを防ぐには、ピークフローメータという器具で呼気(吐く息)の速さを自分自身で測定して、一日数回記録するようにします。自覚症状がないのにピークフロー値が低いときは要注意です。なるべく安静にしたり、吸入ステロイド薬をいつもより増やしたりします。吸入ステロイド薬の増減が治療の基本です。
それでもピークフロー値が改善しないときには病院を受診します。
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