尿失禁とは:トイレまで我慢できずに尿漏れしたり、咳やクシャミをしただけで尿が漏れる・・・そんな、自分の意志に反して尿が漏れてしまう症状を尿失禁(尿もれ)といいます。

 

尿失禁 排尿障害

  

尿失禁とはこんな病気

尿失禁とは(概説)

意思に反して尿が漏れてしまう病気

トイレまで我慢できずに尿漏れしたり、咳やクシャミをしただけで尿が漏れる・・・そんな、自分の意志に反して尿が漏れてしまう症状を尿失禁(尿もれ)といいます。尿失禁には、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流性尿失禁、反射性尿失禁、機能性尿失禁の5つのタイプがあります。
尿失禁(尿もれ)とは、
自分の意志に反して尿が漏れてしまう症状・・

トイレまで我慢できずに尿漏れしたり、咳やクシャミをしただけで尿が漏れる・・・そんな、自分の意志に反して尿が漏れてしまう症状を尿失禁(尿もれ)といいます。

尿失禁にはさまざまなタイプがありますが、大別してつぎの5つに分類されます。
 1)腹圧性尿失禁(緊張性尿失禁)
 2)切迫性尿失禁(過活動膀胱)
 3)溢流性尿失禁(奇異性尿失禁)
 4)反射性尿失禁
 5)機能性尿失禁

そのほかにも、尿道外尿失禁といって、尿道以外の場所から尿が漏れる失禁もあります。先天的形態異常としての尿管開口異常や、尿道上裂などが原因となるものです。
また、睡眠鎮静剤、抗うつ剤、向精神薬などの薬剤を服用したときに、一時的に尿失禁をおこすことがあります。

(画像:排尿障害のアセスメントとケア)

尿失禁の種類と原因

腹圧性尿失禁(緊張性尿失禁)

咳やくしゃみをしたり、急に立ち上がったり、重い荷物を持ち上げた時など、お腹に力が入ったときに尿がもれてしまうのが腹圧性尿失禁です。緊張性尿失禁ともいいます。
腹圧性尿失禁は女性に多くみられる尿失禁です。35歳以上の女性に多くみられますが、10代や20代の若い女性でも珍しくありません。
腹圧性尿失禁が女性に多いのは、女性の尿道は男性に比べて短く(尿道の長さは男性25cmに対して女性は約4cmしかない)、尿道をしめる筋肉(尿道括約筋)がもともと弱いためです。また子宮や膀胱を支える骨盤底筋群も、加齢や出産を契機にしてゆるみやすく、尿道の閉まりが悪くなって尿がもれやすくなります。

切迫性尿失禁<

切迫性尿失禁とは、急におしっこがしたくなり(尿意切迫感といいます)、トイレに行くまで我慢できずに漏らしてしまう尿失禁をいいます。何とかトイレに間に合っても、ドアを締めたとたん、あるいは下着を下ろしている間に漏れてしまうこともあります。
正常な排尿は、大脳で尿意を感じても、すべての準備が整うまで排尿をがまんするように排尿中枢でコントロールされています。ところが、切迫性尿失禁の場合は、脳がまだ排尿OKの合図を出す前に、膀胱が勝手に収縮をはじめて尿を押し出してしまうのです。
このような神経系の異常による排尿障害は、脳血管障害などで大脳の排尿中枢が障害されている場合や、膀胱炎や前立腺炎などで尿路が刺激され膀胱が異常収縮する場合におこります。
切迫性尿失禁では、尿意切迫感はいつ襲ってくるかわかりません。そのため、外出したり、乗り物に乗ったりすることに躊躇をおぼえ、満足な社会生活ができなくなってしまいます。

溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

自分で尿を出したいのに出せない、でも尿が少しずつ漏れ出てしまう。そんな尿失禁を溢流性尿失禁といいます。
この溢流性尿失禁では、尿が出にくくなる排尿障害が必ず前提にあります。前立腺肥大症や尿道狭窄などによる尿道の通過障害、神経因性膀胱などによる排尿筋の収縮不全などが原因となります。
排尿障害で尿が出にくくなると、膀胱内には常時尿が充満している状態になります。そのため、軽い腹圧がかかった場合でも頻繁に尿もれするようになります。これが溢流性尿失禁の発生メカニズムです。
排尿障害を起こす代表的な疾患は前立腺肥大症です。したがって、溢流性尿失禁は男性に多くみられます。

反射性尿失禁

尿意がないのに、膀胱にある程度の尿がたまると反射的に膀胱が収縮して尿が漏れるものです。脊髄損傷や脳障害があるときにおこることがあります。
上位感覚神経障害により尿意が大脳まで伝わらないため、尿意は切迫しません。膀胱からの感覚は脊髄反射を介して膀胱括約筋などを刺激して、反射的に尿を失禁します。

機能性尿失禁

排尿機能は正常にもかかわらず、身体運動機能の低下や認知症が原因でおこる尿失禁を、機能性尿失禁といいます。たとえば、歩行障害のためにトイレまで間に合わない、あるいは認知症のためにトイレで排尿できない、といったケースです。
トイレの場所がわからず、どこにでも排尿してしまうような場合は、泌尿器科的な治療は困難です。便器の場所を工夫するとか、トイレへの誘導といった方法も含めて、介護や生活環境の見直しのなかで組んでいく必要があります。

尿失禁の治療

尿失禁の治療は症状によって異なりますが、骨盤底筋体操、薬物療法、手術が基本的な治療法になります。

中でも、治療の基本ともいえるのが骨盤底筋体操です。弱くなった骨盤底筋や尿道括約筋を強化する一種の筋力トレーニングで、この体操を正しく行なえば、軽症の腹圧性尿失禁なら、1~3ヶ月でかなりの改善効果がみられます。

骨盤底筋体操のやりかたは簡単です。仰向けに寝て、尿道・肛門・腟をきゅっと締めたり、緩めたりを繰り返します。慣れてくると、通勤電車の中で立ったままでも、会社で椅子に座ったままでもできるようになります。
肛門や腟を「締める」「緩める」を繰り返すことにより、自分で意識しなくても、尿道や他の骨盤底筋群も一緒に締まり、下腹部から股間一帯にひろがる筋肉が強化されます。

骨盤底筋訓練などの保存的療法では改善しない場合、または不充分な場合は薬物療法や手術が行われます。

尿失禁のなかで、薬物療法の効果がもっとも高いのが切迫性尿失禁です。治療には、膀胱の活動を抑える抗コリン剤、カルシウム拮抗剤、三環系抗うつ剤などが用いられます。また、プログラムにしたがって排尿訓練をする行動療法もあります。この訓練は、尿意の切迫感や排尿反射を抑えることを体得させるものです。

一方、溢流性尿失禁の場合は、手術で尿の通過障害を取り除くなど、原因疾患の治療が第一になります。

↓↓ タイトルをタップ/クリック(内容表示)

心とからだの健康相談室 > 女性に多い悩み > 尿失禁の原因と対策