胆石や尿路結石などの「石」は何でできているのでしょうか。思えば不思議です。結石のできやすい場所は胆道と尿路で、それぞれ胆石症、尿路結石と呼ばれます。結石の最新情報についてまとめました。

 

結石 胆石症 尿路結石

  

石ができるってどういうこと?
(結石のはなし~胆石・尿路結石)

結石とは

胆石症と尿路結石

尿路結石(尿管結石)。尿中のカルシウム化合物が結晶のように固まってできる。
尿路結石(尿管結石)
結晶のトゲが尿管内壁に刺さって激しく痛みます。

からだの中で化学成分がかたまり、石になったものを「結石」といいます。

結石のできやすい場所は胆道と尿路で、それぞれ胆石症、尿路結石と呼ばれます。
詳しくはあとで説明しますが、胆石と尿路結石とはでき方も成分も異なっていて、胆石はおもにコレステロールが固まったもの。脂肪の摂りすぎで起こります。

一方、尿路結石は尿の成分の一部が結晶になって固まったもので、その大部分がシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなどからなるカルシウム結石です。

結石ができると、石自体が粘膜を刺激して激しい痛みを生じさせるほか、結石によって分泌物の通り道がふさがるなどの悪影響が出ます。

(画像:noahnoah研究所)

胆石症の原因と症状、予防

脂肪摂取量の増加にともなって急増中

肝臓では、胆汁という脂肪の消化を助ける消化液がつくられています。

肝臓でつくられた胆汁は、いったん胆嚢に送られて濃縮貯蔵されたあと、総胆管を通って十二指腸に送られ、胃から送られてきた食物と混じって消化吸収を助けています。

その胆汁の通り道に結石ができるのが胆石症(胆石)です。結石ができる場所によって、胆嚢結石、総胆管結石、肝内結石などと呼ばれます。もっともよくできるのが胆嚢結石です。

胆石は、肝臓や胆嚢内でコレステロールが固まってできたものです。胆汁中にはコレステロールが溶けていて、その濃度が高くなると析出して結晶化し、コレステロール結石ができるのです。いわば脂肪分の多い食事が胆石を作り出しているといえましょう。

胆石症は男性より女性にやや多く、70歳以上になるとさらに胆石発生率が増えています。

胆石症の症状と予防

このとき堪能中の結石も移動して、それが胆嚢管や総胆管に引っかかると激しい痛み(疝痛=せんつう)が生じます。この状態が胆石発作です。

痛む箇所は上腹部の右寄りのことが多く、背中の右側が痛む人も多くみられます。

胆石を取り除くには、結石溶解剤を内服したり、体外から衝撃波を照射して結石を砕く方法(体外衝撃波結石破砕術)などがあります。これでも結石が取り除けない場合は手術により除去します。

胆石症は、日本では高度経済成長期から以降、1974年頃から急に増えてきました。栄養状態がよくなり、特に脂肪摂取量が増えてきたことが原因です。
胆石症の予防には、脂肪分の多い食事を摂りすぎないようにすることが大事です。

尿路結石の原因と症状、予防

カルシウムなどが析出して結晶化

尿路結石は、尿の成分の一部が微小な結晶になり、これらの結晶が成長して凝集し、尿路内にたまったものです。
結石ができた場所によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石などと呼ばれます。

尿路結石の主な成分は、シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムの結晶であり、全体の約80%がこのカルシウム結石です。残りの20%ほどが尿酸、リン酸マグネシウムアンモニウムなどからなる結石です。

尿路結石は、日本では男性の発病が女性の発病の2~3倍も多く、年齢別では30歳代から50歳代の青壮年に多くみられます。戦後は特に、腎臓や尿管など上部尿路の結石が増えているようです。

結石になりやすい原因として、尿路の通過障害、尿路感染症、ホルモンの異常、代謝異常などがあります。また、近親者に結石患者がいるとかかりやすく、再発率も高くなることから、遺伝的要因もあるのではないかと考えられています。

激しい痛みが特徴

典型的な上部尿路結石(腎結石・尿管結石)では、突然に背中から脇腹にかけて激痛が走ります。これを腎疝痛といいます。冷や汗が出たり吐いたりすることもあります。

腎疝痛は間欠的に襲ってくることが多く、いったん疝痛発作が始まると七転八倒、身の置き所がないほどの激痛となりますが、痛みが引くとケロリとしています。
この間欠的な痛みは、蠕動運動をしている尿管の動きや、結石が尿の流れを妨げることで腎盂内の圧力が急激に上昇することなどに起因するものです。

治療と予防

尿路結石の約80%は自然に排出されてしまいます(自然排出)。そのため形が比較的なめらかで、大きさが1cm以下の結石は、水分を多くとったり、尿管を広げる薬を服用して様子を見ます。

自然排出で効果が出ないか、または結石が1cmを超えて大きな場合は、体外衝撃波結石破砕術や 尿道から内視鏡を挿入して結石を砕いたりつかみ出す治療(経尿道的尿管破砕術)を行います。
これでもだめな場合は、最後の手段として外科的な手術が行われます。

尿路結石の予防は、結石ができやすい原因となっている病気があれば、まずはその病気を治療します。そのうえで、日常から水分補給を十分に行って、尿をなるべく濃くしないように努めることが大事です。
結石の自然排出を促すために、ジョギングや縄跳びなどの運動も効果があります。

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