腰痛の防止と対策に関する最新情報を紹介。腰痛は、腰椎(腰骨)やその周囲の筋肉の病気をはじめとして、内臓や神経、血管、心の病気などさまざまな原因でおこります。

 

腰痛

  

腰痛の原因と治療

腰痛とは(概説)

誰もが経験する身近な病気

腰痛はほとんどの人が経験するポピュラーな病気だが、重大な病気が潜んでいることも・・・
痛くてつらい腰痛。腰痛もちは意外と多い。

人間は四足動物から進化し、二足で直立生活をするようになりました。そのため、頭や胸、おなかなどを腰椎(腰骨)やその周囲の筋肉で支えなければならず、腰痛が発生するようになったと言われています。

腰は、体重を支えるためにもっとも大きな負担を強いられており、からだを曲げ伸ばしするときや、物を持つときにも、いちばん負担が加わるところです。腰椎(腰骨)のいちばん下の部分には、全体重の60%がかかります。腰を前に曲げたときには、その4倍の荷重がかかります。
肥満体の人や妊婦さんなどは体重も増加するため、それだけ腰椎に負担をかけていることになります。

一般に、腰の骨や周囲の筋肉などに痛みがあることを、広い意味で、腰痛(または腰痛症)といいます。
腰痛は私たち日本人にとっても発生頻度の非常に高い病気で、整形外科の外来患者のうち、20~30%は腰痛を訴えて来院しているそうです。
腰痛患者は高校生くらいまでは少ないのですが、30~40歳代にもっとも多くみられます。成人のほとんどが一生のうちに一度は経験するといわれるほど、腰痛は身近な、ポピュラーな病気です。

(画像:腰痛とヘルニアの治し方)

腰痛の原因

腰椎の変形や損傷によるものが多い

腰痛の原因は、つぎの5つに原因分類されます。

腰椎(腰骨)やその周囲の筋肉などの病気に由来するもの
もっとも多くみられる腰痛で、つぎのような整形外科的な原因によっておこるものです。
たとえば、椎間板ヘルニア変形性腰椎症脊椎分離症・脊椎すべり症など、脊椎自身の病気によるものがあります。また、筋肉や筋膜の障害なども腰痛の原因となります。

神経の病気に由来するもの
背骨の中を通っている脊髄に腫瘍や癒着がおこったもの、脊髄から出て脚に向かう神経の圧迫や病気、腰の周辺の皮膚神経に障害がおこったものなどもひどい腰痛がともないます。

内臓の病気に由来するもの(婦人科の病気も含む)
胆石など内臓の病気が原因で腰痛をおこしている場合もあります。また子宮筋腫や月経異常など、婦人科の病気によっても腰痛はおこります。
女性で、下腹部にも痛みがあるときは、婦人科を受診することも必要です。

血管の病気に由来するもの
腰の痛みだけでなく、全身状態が悪く、突然に発症した場合には、おなかの中の大きな血管の破裂なども考えなければなりません。

心因性のもの
心の病が原因となって、腰痛を訴えることもあります。
このような心因性腰痛では、いろいろな整形外科的な検査を行なっても、異常をみつけだせないことが多くあります。

腰痛の治療

腰痛は、格別な治療を行なわなくても自然に治るものもありますが、治療としては、つぎのような保存的療法が適当です。
手術を要するのは、椎間板ヘルニアや腫瘍など、特別な場合だけです。

急性期の腰痛治療

背骨やその周辺の筋肉などの負担を軽くするために、横になって休むなど安静をとることがもっとも大切です。寝るときも、本人がもっとも楽な姿勢、痛みのない姿勢をとります。多くは、エビのように腰を曲げた状態がよいといわれています。

症状が強い場合は、消炎鎮痛剤や筋肉の緊張を取り除く薬を服用します。
ぜんそくの持病のある人は、ふつうの鎮痛剤は、ぜんそくを誘発することがあるので、自分で市販薬を買って服用することは危険です。受診するときも、必ずぜんそくがあることを医師に告げるようにしてください。

いわゆる「ぎっくり腰=急性腰痛症」など強い痛みがあるときは、硬膜外ブロックなどの注射が非常に有効です。 ブロック療法というのは、麻酔剤や炎症を鎮める薬を注射して、腰髄の神経を遮断(ブロック)する方法です。即時に痛みを取り除くことができます。

慢性期の腰痛治療

急性期を過ぎて激痛はなくなったが痛みが続く人や、初めから強い痛みはないがくり返し痛みがある人には、つぎのような治療が行われます。専門医である整形外科医に診察してもらって、適切な治療を受けてください。

牽引療法
腰痛の治療にもっとも多く行なわれている療法で、骨盤牽引といわれています。腰部を安静にできることや、筋肉の緊張をゆるめることなどで、痛みがやわらぐと考えられます。

物理療法
腰部を温めたり冷やしたりする方法です。腰部の血行をよくし、痛みや筋肉の緊張の緩和をもたらします。ホットパック、赤外線、超短波や超音波、氷水などを使用して行なう療法です。

装具療法
コルセットや腰椎装具を使って、腰椎の運動を制限または固定させる療法です。いろいろな型の装具がありますが、もっとも重要なことは、自分にきっちりと合ったものを装着することです。そのため既製品ではなく、整形外科病院で、医師の指示のもとに、その人に適した装具を作ります。

運動療法
よい姿勢を保つには、脊椎を伸ばす筋肉と曲げる筋肉とがバランスよく働くことが必要です。また、立ったり座ったりするときに脚の筋力も必要です。
そのため、腰痛体操やストレッチ訓練を行ない、腰や全身の筋肉をバランスよく強化します。日ごろから運動をして、全身を鍛えることも大切です。

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