痛風とはどんな病気か
高尿酸血症と痛風発作
痛風は、ある日突然、針を刺すような激しい
痛みに襲われます(痛風発作)
血液中の尿酸の濃度(血清尿酸値)が、1デシリットル当たり7mg以上になると高尿酸血症と診断されます。
高尿酸血症そのものは特に怖い病気ではありませんが、尿酸値が高い状態が続くと、尿酸は静かにしかも着実に、おもに関節に沈着していきます。
そして、ある日突然、足の親指の関節、とくに付け根の関節に針を刺すような激しい痛みが生じ、赤く腫れてきます。これが痛風発作です。
尿酸の結晶(尿酸ナトリウム)は針状にとがっていて、痛覚神経を刺激して激しく痛みます。
痛風発作は手足のどの関節にもおこりますが、7割以上は足の親指の関節にあらわれます。
このように、高尿酸血症が原因となって起きる関節の炎症を痛風といいます。痛風は圧倒的に男性に多い病気です。患者の9割以上は男性だといわれています。
(画像:病客邦)
痛風の症状
尿酸は水に溶けにくく、基準値以上になると全身に沈着し始め、やがて痛風を発症します。痛風の主な症状は、痛風性関節炎と痛風結節です。
痛風性関節炎
痛風のもっとも典型的な症状が、痛風性関節炎といわれる関節の炎症です。ある日突然、足の親指の付け根に針で刺したような激痛が走ります。
この痛風発作は、通常は24時間以内にピークを迎え、10日もたてば自然に消えてしまいます。その後はしばらく、何も出現しない間欠期があり、1年以上も経過してから再び、突然に二回目の痛風発作がおこります。
こうした発作は、何の前触れもなくおこるのが特徴です。この段階はまだ急性通風性関節炎といわれます。
痛風が進んでくると間欠期がだんだん短くなって、やがていつも痛みが続くようになります。また、複数の関節が障害されてきます。ここまでくると慢性通風性関節炎といわれ、生活にも支障が生じてきます。
痛風結節
耳たぶの痛風結節
尿酸が軟骨の内外に沈着して、結節(しこり)になることがあります。これを痛風結節といい、耳たぶや足関節、肘関節、手指などにみられます。
もっとも多いのが、耳たぶに生じる痛風結節です。
痛風結節は、触れると痛い場合と痛くない場合があります。
(画像:ダーリンは格闘家。ついでに痛風)
痛風の予防
高尿酸血症の原因
血清尿酸値が高くなる原因には、高プリン食の過大摂取、激しい運動、肥満、アルコール摂取などが、薬剤投与、腎臓や血液の病気など多くのものがあります。
■高プリン食の過大摂取
尿酸は肝臓でつくられますが、その尿酸の原料になるのはプリン体です。したがってプリン体を多く含む食品をたくさん摂取すると、肝臓に尿酸の原料がどんどん送られて、血清尿酸値が高くなります。
■激しい運動
個人の運動能力の限界に近いような激しい運動をすると、筋肉からキサンチンなどの物質が血液中に放出されます。この物質からも尿酸が作られるため、一時的に尿酸値が高くなります。
■肥満
肝臓でつくられた尿酸は、尿や汗などで体外に排出されますが、太っている人は尿酸の尿への排出力が低下します。そのため、肥満の程度が強いほど、血清尿酸値が高い傾向があります。
■アルコール摂取
誰でもアルコールを摂取すると血清尿酸値が上がります。とりわけ通常から、習慣的に大量のアルコールを摂取している人は、とくに尿酸値の上がり方が激しくなります。
■その他、病気・薬剤投与
腎臓の病気で腎機能が低下すると、血液の濾過がうまくできなくなり、尿酸がたまって血清尿酸値が高くなります。また、解熱鎮痛剤(サリチル酸)や高血圧治療薬(チアジド系利尿剤)などの服用で、尿酸値が高くなることもあります。
高プリン食(プリン体を多く含む食料)
プリン体は美味しいものに多く含まれます
プリン体は、肉や魚介類など美味しいものに多く含まれています。プリン体だけを減らすのは難しいので、食事量を全体的に減らして、その中に美味しいものを少し取り入れると良いでしょう。
代表的な食品に含まれるプリン体の量は以下のとおりです。カッコ内には、食品100gあたり、または飲料100mlあたりのプリン体含有量(mg)を表示しました。
・レバー類(219~312mg)
・鶏肉ササミ(153mg)
・豚肉ヒレ(119mg)
・牛肉モモ(110mg)
・イサキ白子(305mg)
・大正エビ(273mg)
・カツオ、マイワシ(210~211mg)
・アサリ・カキ、スルメイカ(145~186mg)
・まぐろ、トビウオ、マアジ(154~165mg)
・ブリ、マダイ、ヒラメ(120~133mg)
・白米、大麦、そば粉(25.9~75.9mg)
・紹興酒(11.5mg)
・地ビール(5.8~16.6mg)、ビール(3.3~6.9)
・日本酒(1.2mg)
アルコール飲料自体にはプリン体はあまり多く含まれていませんが、アルコール摂取の作用が加わって尿酸値が上昇します。お酒を毎日飲む人は痛風の危険度が2倍に、特にビールを飲む人の危険度が高くなるといわれています。
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