レム睡眠とノンレム睡眠(概説)
睡眠にも深い浅いのリズムがあります
健常成人の夜間睡眠経過図(レム睡眠とノンレム睡眠)
睡眠は、昼間の活動で疲れた脳と体を休める大切な生理現象です。
ただ、眠っている間にも脳活動はさまざまに変化します。睡眠は決して、脳全体が一様に休んでいる状態ではありません。
ヒトの睡眠は、眠りの浅い「レム睡眠」と、深い眠りの「ノンレム睡眠」から構成されています。
レム睡眠というのは「身体を休める睡眠」。ノンレム睡眠というのは「脳を休める睡眠」とも言えましょう。
レム睡眠は、眠っているときに眼球が素早く動くことから名づけられました。Rapid eye movement sleep=REM sleep です。身体は眠っているのに、脳は活動しているのです。
これに対して、ノンレム睡眠では脳波活動が低下し、脳も身体もぐっすりと深い眠りにつきます。ノンレム睡眠は、脳の電気的活動(脳波)のパターンにより四段階に分類されます。
(画像:厚生労働省 e-ヘルスネット)
健常成人の夜間睡眠パターン
交互に訪れる脳の休息と筋肉の休息
睡眠脳波検査で測定した健常成人の典型的な夜間睡眠パターンは、上の図に示したようになります。
睡眠は深いノンレム睡眠(段階3と4)から始まり、睡眠欲求が低下する朝方に向けて徐々に浅いノンレム睡眠(段階1と2)が増えていきます。
その間に約90分周期でレム睡眠が繰り返し出現し、睡眠後半に向けて徐々に一回ごとのレム睡眠時間が長くなっていきます。
深いノンレム睡眠は大脳皮質の発達した高等生物で多く出現します。昼間に酷使した大脳皮質を睡眠前半で集中的に冷却し休養を取らせます。
これに対してレム睡眠は、全身の筋肉を弛緩させ、エネルギーを節約して身体を休める睡眠といえます。
レム睡眠時の脳波活動は比較的活発で、夢をよく見るほか血圧や脈拍が変動することから、心身ともに覚醒への準備状態にある睡眠ともいえます。
夢とレム睡眠
ヒトはよく夢を見ます。
夢を見るのはレム睡眠中であることが多く、この期間に覚醒した場合、夢の内容を覚えていることが多くあります。とりわけ朝方に見る夢はよく覚えているのだそうです。
自分は夢を見ないという人がいますが、それは見た夢を覚えていないだけのことなのです。
レム睡眠は、身体が眠っているのに、脳が活動している状態です。脳波はシータ波が優勢で覚醒時と同様の振幅を示します。そのため人は、レム睡眠のもとでは活発に夢を見ます。
金縛りとレム睡眠
レム睡眠中は、身体全体の骨格筋が弛緩状態にあり、急速眼球運動のほかは身体はほとんど動きません。疲れた身体を休めるために、筋肉の緊張を抑えるように、神経機構がそのように働いているのです。
そのため通常は、行動をともなうような夢をみている場合でも、実際に身体は動かず、安全にからだの休息がとれるのです。
ところが何らかの理由でこの機構が障害されると、夢見のときに行動が伴うようになります。これが睡眠時随伴症(レム睡眠行動障害)の発生メカニズムだと考えられています。
また、レム睡眠から覚醒への移行に際し、筋肉の弛緩状態がしばらく続くことがあります。
このとき、たまたま怖い夢をみていて目が覚めた場合、からだが動かないと自覚されると、大変な恐怖感をおぼえ、もがき苦しむことがあります。これが金縛り(睡眠麻痺)です。
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