自己免疫疾患とは、生体の免疫応答が、自分の正常な細胞を異物だと誤って認識して、これを排除しようとする疾患です。

 

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自己免疫疾患とは

自己免疫疾患とは(概説)

自分の免疫システムが自己を攻撃する恐ろしい病気

自己免疫疾患とは、自分の免疫システムが自己を攻撃する病気
自分で自分の組織を攻撃します

私たちのからだは免疫という生体防御機能で守られており、外からウイルスや細菌などの異物が侵入してきても、これを非自己と認識して排除する仕組みが備わっています。
正常ならば、自己(自分のからだ)を形づくっているものに対して、免疫反応がおこることはありません。

ところが、自己と非自己の区別がつかなくなり、自分自身の細胞やたんぱく質などを異物(抗原)とみなして反応する抗体(自己抗体)やリンパ球(自己反応性リンパ球)ができて、自分のからだの一部を攻撃したり、排除しようとし、その結果、さまざまな病気がおこってくることがあります。

このように、自分自身に対する免疫反応のことを自己免疫といい、自己免疫がもとになっておこる病気を自己免疫疾患と呼びます。
代表的な自己免疫疾患には、膠原病、ギラン・バレー症候群、自己免疫性溶血性貧血、バセドウ病、自己免疫性肝炎などがあります。いずれも難病といわれる厄介な病気です。

(画像:膠原病入門)

自己免疫疾患の種類

自己免疫疾患は、大きく二種類に分けることができます。

特定の臓器が攻撃される臓器特異的自己免疫疾患

一つは、特定の臓器だけが影響を受けるもので、臓器特異的自己免疫疾患といいます。それぞれの臓器にある特有のたんぱく質に対して自己抗体ができ、直接その臓器が攻撃され、障害がおきると考えられています。

  • ギラン・バレー症候群:神経・筋組織に作用。四肢筋力の低下と腱反射の消失
  • 自己免疫性溶血性貧血:赤血球に作用。赤血球が異常に早く破壊されておこる貧血
  • 特発性血小板減少性紫斑病:血小板に作用。血小板が破壊されて減少し出血傾向をきたす
  • バセドウ病:甲状腺に作用。甲状腺ホルモンが過剰につくられて機能亢進症が生じる
  • 自己免疫性肝炎:肝臓に作用。肝細胞が障害する慢性肝炎

障害が全身におよぶ全身性自己免疫疾患

もう一つの自己免疫疾患は、障害される臓器が一つだけではなく全身の多くの臓器におよぶもので、全身性自己免疫疾患といいます。代表的な疾患に、膠原病(こうげんびょう)とよばれる各種症状があります。

膠原病はひとつの病気の名前ではなく、膠原病とまとめて呼ばれている多くの病気には、50種類以上の自己抗体が発見されています。汎発性強皮症(全身性硬化症)、多発性筋炎および皮膚筋炎、結節性多発動脈炎(結節性動脈周囲炎〉などがあります。

自己免疫はなぜ起こるのか

自己免疫がなぜ起こるのか? 残念ながら現在でも、自己免疫がおこる原因とその仕組みについては、まだよくわかっていません。ただし、いくつかの考え方があります。

免疫系への新たな接触
細胞の内部にあって免疫系にふれなかったたんぱく質が、外傷などで外に出てきたときに、免疫系によって非自己(自分のからだの組織ではない)と誤認されて抗原になるという考え方です。

たんぱく質の構造変化
細菌感染や薬物摂取などが原因となって、自己のたんぱく質の構造が変化してしまい、新しい抗原がつくられるという考え方です。また、微生物など異物に対する抗体が、たまたま構造のよく似ている自己のたんぱく質を抗原と誤認する(交差反応)という考え方もあります。

抗体の機能異常
抗原の問題ではなく、抗体をつくるリンパ球や免疫反応の調節機構のほうに異常があって、正常な細胞が攻撃されるとする考え方です。

いずれにしても、本来は自分を守ってくれるはずの免疫システムが、まったく逆に自分を攻撃してくるのですからたまりません。免疫機能の暴走というか、自殺型の自虐的生体反応というか。じつに恐ろしい病気です。

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